荒地から始めた井尻農場。小松菜の味は砂利の味

<荒地、やる気、肥料>

「井尻農場」それは寮生自らが健康を維持するためビタミンを生成するプロジェクト。

 バイトを辞めて、お金を稼ぐ術を失っていた時、消費するお金を限りなく0にすれば働かなくてもいいのではないかと、資本主義に挑戦的な態度をとった。自分のような人間が労働から学ぶことなど何もない。あるとすれば、「学生時代のバイトなんていうものは貴重な時間を安い時給に変換している」という事実だけである。それで、何をやったかというと、寮の庭を開墾し、農学部の教授から肥料と石灰をもらい、小松菜の種をまいて育てた。

 多摩美術大学で「トマトを作って情報デザインを教えます」と宣言したのは、情報デザイン研究者である須永剛司であった。この意図は学生たちに、「変化」すなわち「生きていること」のかたちを学ばせることだったらしい。しかし、単純に自分の場合は食糧目当てと「農耕民族である日本人たるもの一生に一度は開墾せねばならぬ」という焦りから始めたものであるから、この小松菜が「生きてるもののかたちなんだなぁ」なんてこと思うはずもなかった。だが、こんな小さい種がよくここまで短期間で大きくなった、としみじみ植物の成長の歩みに感心させられたのはたしかであった。

 農学部の先生から肥料をもらい、友人たちと開墾し、毎日水をやって雑草を抜き、台風にやられつつも育てた経験こそが重要であり、最終的に全然味がしなかったし寮生からも不評であった小松菜自体は気休めの報酬であった。

平成30年7月豪雨に耐え切った後の小松菜。

かなり、雨と風にやられて弱ってしまった。




小松菜を電子レンジでカラカラに乾燥させ、ミキサーで小松菜パウダーにする。

麻婆豆腐に入れて、小松菜風味の麻婆豆腐に。

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