気楽に川で泳げたらいいと思ったことはないだろうか?ぶっちゃけどこでも泳げないことはない。実際、道頓堀にせよ、ガンジス川にせよ、チャオプラヤー川にせよ、水がきれいでないにも関わらず泳ぐ人はいる。だが、我々?一般人にとって、人目も気になるし、衛生的にも心配だし、プールに入るみたく気楽にやるものでもない。
そもそも川とは「地表の水が集まって流れる水路」で、プールは「水泳のために人工的に水を溜めた所」である。これらを元にして考えると、川をプールにするとは「地表の水が集まって流れる水路の一部に水泳のために人工的に水を溜めた所」である。
元々上流のキレイな川ならまだしも、都市部の川の水は汚水が流れ込むので、その水は衛生的に安全にする必要がある。そのための方法として、主に以下の2つがある
1. 川の水ではなく水道水を溜め込む「道頓堀モデル」
2. 川の水を濾過して溜め込む「シュレプー川モデル」
1. 川の水ではなく水道水を溜め込む「道頓堀モデル」
道頓堀は800mプールの夢を見るが、内輪揉めで川を占用できず。
この方式を道頓堀をプールにする計画で採用していたことから、道頓堀モデルと勝手に呼ぶことにしよう。とはいえ、計画は頓挫してしまったわけだが。
元々のコンセプトは「すごい!きれい!きもちいい!」と、小学生から公募でもしたのか?と思わざるを得ない、ひらがなとエクスクラメーションマークのみで構成された文言だった。意外にも規模は大きく、せかい!さいちょう!をめざしていたのだ!ちなみに、入場料は最初の1時間が2000円で、以降1時間ごとに1000円となかなかいいお値段。
800メートルにわたり、川幅いっぱいの水槽を浮かべ、約1万トンの水道水を注入する「世界最長の遊泳用プール」
技術的な面では試作品でテストしていて問題なかったものの、
テント生地で作った川幅いっぱいの箱形プールを川に係留する方式を想定。試作品でのテストに加え、水質の専門家を招いて濾過(ろか)の仕組みを整える
「関係者の了解を得る」ことができなかったという。プール設置期間中は観光船が往来できないにも関わらず、事業者に十分な営業保証がされないなどの理由で、占用許可申請を得ることができなかったという。
却下された理由は何にせよ、基本的には水槽を川に浮かべて、水道水を入れるだけではあるので技術的には比較的容易だと思われる。また、コロナを鑑みると、不幸中の幸いで中止されて無用の長物にならずにすんだともいえる。
2. 川の水を濾過して溜め込む「シュレプー川モデル」
景観や公害の批判はありつつも、プロジェクト進行中
シュプレー川はベルリンを流れる川であり、博物館島と呼ばれる5つの有名な博物館がある中洲の南側を流れる川をプールとして活用するのがFlussbadプロジェクト。アーティストで建築家のヤン・エドラーとティム・エドラーが再活用しようと考えたのが発端。
長さは道頓堀プールごえの835mで、水槽が設置されるわけではなく厚さ1mの砂利フィルターで濾過された川の水が使用される。また、自然環境を改善するためにプールとフィルターの手前の川には植物を植え、親水スペースにするという。
北側の運河が利用できるため、観光船と揉めることはあまりなさそうだが、場所は博物館島の名の通り有名な博物館が立ち並び、その景観と治安を守りたいという反発はあった。そのため、川へのアクセスである階段の幅は大きく削減されたものの、プロジェクトは依然進行中。ちなみに、入場料は無料である。
まだ完成してはないが、なんだかんだ川で泳ぐイベントは実施している。
道頓堀とシュプレー川の比較一覧
ご興味ある方は、こちらの昔書いたレポートを参照されたし。
参考リンク
世界驚愕「道頓堀プール」の詳細を徹底解説 年間100万人の来場で、国内全域に波及効果, 2013
全長800メートル巨大「道頓堀プール」 計画頓挫に追い込まれた裏事情, 2015
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