自炊記録帳

 貧乏学生が行う修行の1つとして、自炊が挙げられる。また、自炊のみならず、ただ飯への嗅覚を研ぎ澄ませることも大事な修行である。資本主義社会においてタダより安いものはないので、当然の帰結である。優れた貧乏学生にとってただ飯にあり着くことなど造作もない。常に好機はぶら下がっていて、その好機を享受するだけだからだ。

 さて、自炊において、安い食材をいかに手軽に美味しく食べれるかが勝負の決め手となる。だから、ただ自炊をしてると自慢するだけなど愚の骨頂である。自炊そのものが重要なのではなく、自炊を通して学べることこそが重要なのである。自炊の記録を書き留めておくことは、これまでの修行の日々を振り返るのに役にたつだろう。


麻婆豆腐

 ルミエールで豆腐が29円で買えるので、それを活かさない手はないだろう。激安豆腐を最大限に生かす工夫は、一度お湯にくぐらせることだ。すると、もっちりとした食感になり、口に入れたときに印象が大きく変わってくる。

 麻婆豆腐の素を塾長から貰えるが、それだけでは物足りない。ひき肉とコチュジャンなどの調味料を足すことによって、味にうるさい貧乏学生も納得の味になる。しかし、ひき肉がなかなか高価なので、普段は肉なし豆腐増しである。

ひき肉がなければ、卵とめんつゆを入れて和風麻婆豆腐にしてもよかろう。中国と日本が歩みよることによって生まれるコクと旨味。是非とも奨励していきたい。


びっくり亭もどき

びっくり亭とは、福岡でかの有名な焼肉屋さんである。にんにくの効いた肉と野菜、油と辛味噌で味わう鉄板焼肉で、病的なうまさのハーモニーを奏でる。そのため、びっくり亭中毒者も少なからずいるとかいないとか。

この下位互換が、ブラジル産鳥もも肉を使用したびっくり亭もどきである。ニンニクと辛味噌は少々値が張るものの、何度も利用可能なので一回当たりに換算すれば安いものだ。牛脂に関しては、スーパーで取り放題なので、遠慮なくつかみ取りしてきて、焼肉にぶち込もう。すると、脂ギッシュな旨味で埋めつくされるだろう。

ルミエールの39円/100gのブラジル産鳥もも肉の味っ気のなさを、補ってなお余りあるほどの味わいをもたらしてくれる。貧乏料理界で至高の逸品である。



お好み焼き

 大阪の伝家の宝刀。しかし、大阪でその刀を使うことはなかったので、残念ながらまだまだなまくら刀なのである。お好み焼きは非常に安上がり栄養価が高い、コスパエリートだ。しかし、めんどくさいのでそれほど頻度は高くはない。手間とコスパのシーソーゲームである。


具なし味噌汁

 かの悪名高い、コスパ最強レベルの代物。「具なし味噌汁」というパワーワードだけでご飯何杯でも食べられる。虚しさと味噌を噛み締めながら食べるのが正しい食べ方。写真などなくとも、想像して味わうがよろしい。


インスタント麺

 袋麺と言えど、苦学生にとっては安くはない。だが、夜を活動拠点としている寮生にとっては竹馬の友である。ただ御誂え向きのマニュアル通り食べるのは、そこらへんのへっぽこ大学生でもできる。一手間加えてこそ、燦然と輝く底辺エリートである。

 麺を茹でたお湯でスープを作るような真似はしない。ちゃんと湯ぎりしてから、別に用意したスープの中へダイブさせる。また、パクチーやガラムマサラをかけて芳醇な香りでエスニックさを醸し出すとワンランク上の貧乏生活を送ることができる。


白菜と豚肉のミルフィーユ鍋

 鍋で意外と高くつくのが、鍋つゆである。スーパーで招き猫のように、周囲に張り巡らせられた鍋つゆが私たちを誘惑してくるが、食品会社が消費者を食い物にするための罠なので注意すべきである。正しい方法は調味料から鍋つゆを作るという、実にシンプルな解。

 俗世に疎い貧乏学生といえど、おしゃれなランチやらディナーに憧れはある。流行りのものを止むを得ず作ってしまう権利は誰しも持っているはずなので、安上がりで済みそうなミルフィーユ鍋を作ることにした。白菜と豚バラ肉だけだが、一説によると綺麗に規則的に配列することで見事な配色になって、インスタ映えなるものになるらしい。確かに、調理前に並べた時はそれっぽくなったものの、結局そんな整ったままでは食べづらいので、写真のような有様にならざるを得なかった。

 失敗する可能性があるものは必ず失敗するとうマーフィーの法則通り、「キレイに盛り付けても、食べると同じ」と思っている時点で失敗は目に見えていた。結局、ミルフィーユ状にしようとしまい味は変わらないし、見た目も同じになっていただろう。なんだかんだ言って、ただの白菜と豚肉の鍋である。しかし、味はほっこりする安定した家庭の味なので、これからは気楽に見た目を気にせず、ドカドカ突っ込んで作っていきたい。

ナツキ徒然MakingLog

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